第4章 初めての担当
1 My first 引き継ぎ
導入教育が終了すると、いよいよ自分の得意先を担当することになります。そのファーストステージが、前任者から「引き継ぎ」を受けることです。前任者である先輩MRから短期間に多くの先生を紹介され、名刺はあっという間になくなります。実地研修とは違い、引き継ぎ後は新人MRではなく「後任のMR」として扱われ、担当者としての責任を負います。もう研修中ではありません。
得意先とMRとの信頼関係(信用)は会社の財産であり、MR個人の財産ではありません。したがって、前任者も後任者(新人MR)も担当交代により信頼関係を維持できるように、引き継ぎをしなくてはなりません。ベテランMRでさえも、引き継ぎ期間中に体重が落ちるほど大変な作業です。
まず、短期間に多くの先生の名前を覚えなくてはなりません。その他にも、先生の出身大学や専門領域などのプロフィール、採用製品、訪問時間、訪問の際の決まりごとなど、覚えることは山ほどあります。とても口頭で教わったことを記録できないので、前任者は「引き継ぎ書」を必ず作成します。引き継ぎが終わった後に一人で稼働する場合、しばらくは「引き継ぎ書」が手放せません。
引き継ぎは、実地研修とは比にならないほど大変です。しかし、引き継ぎは後任である自分のためのものです。これを乗り切れば、自分にとって初めて担当する得意先として愛着が生まれ、やりがいを感じるようになってきます。
2 前任者について
引き継ぎを受けたものの、前任者が手薄だった、あるいは弱かった担当エリア(もしくは病院)だったので、あまり引き継がれる内容がなかった。
これは、新人MRに引き継がれる場合によくあることです。引き継ぎ期間中、どこに行っても先生の反応が冷たかった。卸のMSさんが相手にしてくれなかった。この状況をあなたは憂いますか?
もし前任者が手薄だった担当エリア(あるいは病院)を引き継いだ場合、実はあなたは非常に幸運なのです。確かに、一人で廻り始めてからどの先生からも相手にしてもらえず、つらいと感じるかもしれません。これは、得意先と会社の信頼関係が築かれていない状態だからです。
しかし、考えてみてください。これ以上悪い状況にはならないのです。失うものがなく、ゼロからスタートできるのです。これからのあなたの頑張りが、すべてプラスになって財産になるのです。こんなに気が楽なことはありません。
最初は相手にされなくても熱心にコンタクトをとれば、