新人MR マニュアル

第2章 MRのベーシックマナー

1 マナー以前に大事なこと―時間厳守

ベーシックマナー以前に大事なことがあります。それは時間を厳守することです。学生時代とは比較にならないほど、社会人の時間に対する概念は厳しいと考えてください。

社内会議の場合、開始時刻までに着席しておけばよい、と思ったら大間違いです。会議室の準備だけでなく、議題で指摘を受けると思われる資料・データにまで目を通しておくのが当たり前なのです。
 得意先とのアポイントに遅刻することは、もはや言語道断です。道路の渋滞や公共交通機関の遅延など、一切理由になりません。先生と約束した時刻は、これらの不測の事態が起こっても到着できる時間的な余裕を持っておくことが当たり前です。

この「当たり前」の感覚が、学生時代とはまったく厳しさの違うものであることを認識してください。根本から意識を変えなくてはなりません。
 たった1回の遅刻で、これまで築き上げた信用をすべて失うこともあります。先輩MRはその「怖さ」を知っているからこそ、絶対に遅刻はしません。「時間厳守」できないことは、人格まで否定されても当然のことなのです。それだけ時間には厳しくなければならないことを、肝に銘じてください。

先輩MRは、「新人は一番早く出社して当たり前」、「待ち合わせでは、新人は先輩よりも早く到着して当たり前」という環境で育ってきました。このような先輩方にとって、「遅刻」はありえないことなのです。

2 お辞儀の基本と使い分け

一般的なビジネスモデルのお辞儀は3つのパターンがあります(①~③)。

  1. 会釈(草礼)…傾きは15度

    医局の廊下ですれ違う時、MRが歩いている時、また先生が歩いている時も使います。こういう場合は、深く一礼するより自然に見えます。

    会釈(草礼)…傾きは15度
  2. 中礼(行礼)…傾きは30度

    中礼は挨拶のお辞儀です。訪問してドアを開けた時のお辞儀、また、講演会などで先生をお迎えした最初のお辞儀で使います。

    中礼(行礼)…傾きは30度
  3. 敬礼(真礼)…傾きは45度

    謝意を表すお辞儀。御礼だけでなく、お詫びの際にも敬礼が使われます。先生との面談を終えて診察室から出る場合、お時間をいただいた御礼の意で敬礼します。

    敬礼(真礼)…傾きは45度

    【3つのお辞儀に共通していえること】

    ・背筋を伸ばして軽くあごを引き、頭の先から腰までの直線を保ちます。

    ・足は開きませんが、つま先は少し開かないと不自然です。

    ・上体を倒す場合の倍の時間をかけて上体を起こします。敬礼は1秒以上かけて上体を倒し、2秒以上かけて上体を起こします。

    ・相手の目を見てお辞儀を始め、相手の目を見て終えます。

    敬礼の場合は「よろしくお願いします」などと声をかけてお辞儀をする「語先後礼」が原則です。しかし、会釈は時間の余裕がないのでお辞儀と同時に声を発します。

  4. 目礼…傾きは10度

    軽く頭を下げて視線を下に向けることが目礼です。病院の廊下でお世話になっている先生とすれ違う時、エレベーターの中で偶然出会った時、先生の立場で考えてみてください。
     MRから「いつもお世話になっております」と深々と頭を下げられたらどうでしょう。周りに人(特に患者さん)がいなければともかく、非常に気まずいですよね。空気を読めないMRはもっとも嫌われます。
     また、先生方が打ち合わせをされている時も同じです。相手の領域に入り込んではならない場合、謙虚に挨拶をすることが目礼です。

3 名刺の出し方、受け取り方

  • 名刺を切らすことは絶対に許されない

    どんな理由があろうとも「名刺を忘れました」という事態は絶対に許されません。相手に「こんな失礼なヤツとは、以後絶対に会わないぞ」と思われても仕方ありません。  名刺入れには常に最低でも20枚以上、MRの鞄には箱入れで100枚、さらに車の中にも予備を置いておくべきです。  特に注意しなくてはならないシチュエーションは、


TOP