第11章 MRであることの誇り
1 いつも患者さんを意識する
新人MRの皆さん! 自社製品が処方される疾患の患者さんの苦しみを、どれくらい知っていますか?
親や兄弟姉妹が難病を抱えて苦労されたことがきっかけでMRを志した人が現実に多くいらっしゃいます。このような方は自分から口にすることはないですが、何かがきっかけで「そうだったんですか」と知ることがあります。患者さんが抱えている苦痛を知っているMRには迫力があります。
先生は日常診療で患者さんに接し、苦難や苦痛を直接聞いています。しかし、残念ながらMRにはそのような機会はありません。先生とMRの間にどうしても意識のズレが生じる原因はこの部分なのです。 先生の立場で考えてみてください。患者さんの苦痛をまったく考えないMRから自社製品を紹介されて処方してみたいと思いますか?
MRが提供する情報の基本は、添付文書です。自社製品の知識がないとMRは務まりません。しかし、この知識に加えて、自社製品の効能・効果にある疾病や症状を有する患者さんが抱えている苦しみや不安は必ず把握しておきましょう。面談する際には、先生の後ろに患者さんがいることを、常に意識しましょう。
患者さんのことを知る方法はいくらでもあります。インターネットで調べてみる、ズバリ先生に聞いてみるなど、あなたさえその気になれば情報の入手は簡単です。
患者さんの会や患者さん自身のブログだけでなく、医師や看護師さんのブログにも患者さんの抱えている苦しみや不安が綴られています。これらには、添付文書や医学論文にも書かれていない患者さんの悲痛な叫びが書かれています。患者さんの「声」を聴くことにより、「今までの自分のMR活動はなんだったんだろう」と考えさせられます。これをきっかけに「自分が、もしくは自社製品が患者さんのためにできることはなんだろう」と真剣に考えるようになるはずです。
また、書店の医学書コーナーにある「看護師向け」、「理学療法士向け」「社会福祉士(ソーシャルワーカー)向け」の本には患者ケアの観点から患者像が描かれています。これらはわかりやすく新鮮な気持ちで読めると思います。
2 MRとしての喜び
患者さんが抱えている苦痛を知っているMRは、自社製品が使われることにより多くの患者さんが救われる、あるいは苦痛が軽減できることを知っています。これこそがMRとして「喜び」を感じるときなのです。
ところが、