遺伝子の役割の1つである個体維持のためのタンパク合成について、みていきましょう。
DNAは、4種類の塩基とデオキシリボースという糖とリン酸から成り立っています。DNAの中の遺伝情報は、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)という4種類の塩基の並び方により保持されています。これは塩基配列と呼ばれ、DNAの鎖ではAとT、およびGとCが結ばれて、2本鎖を安定に保っています。この結合は弱く、温度を60℃以上に上げると2本鎖が解けて2つの1本鎖となります。
①まず、タンパク質合成時にはDNA2本鎖が酵素の働きで解け、この部分の塩基配列をもとにm(メッセンジャー)RNAが合成されます。
②このとき、DNAのTはmRNAのAとして、GはCとして、CはGとしてそれぞれ読み取られますが、Aはウラシル(U)としてmRNAに読み取られます。
③このように、DNAの塩基配列を転写したmRNAは核の外に出て、リボソームへと移行します。リボソーム近辺には、特定のアミノ酸が結合したt(トランスファー) RNAが存在しています。tRNAにはアンチコドンと呼ばれる部分があり、結合しているアミノ酸別に固有の構造を有しています。
④リボソームに移行したmRNAの3つの塩基配列に対応したアンチコドンを持つtRNAが次々に結合します。続いてtRNAに結合していたそれぞれのアミノ酸が、酵素により順に結合されて長くつながり、 tRNAから切り離されタンパク質ができ上がります。
このような一連のメカニズムは、セントラルドグマと呼ばれています。