抗がん剤の投与法は、全身投与と局所投与に分けられます。
全身投与は一般的には静脈内投与と経口投与で行われていますが、静脈内投与としては末梢静脈からの投与のほか、中心静脈からの投与も行われます。
末梢静脈の投与は、長時間の治療では手が不自由になること、薬剤によっては血管炎を起こしやすいこと、頻回の治療では末梢ルートの確保が大変であることなどの難点があります。したがって、大腸がん化学療法のFOLFOX(フォルフォックス)やFOLFIRI(フォルフィリ)レジメン(regimen)など48時間に及ぶ長時間の治療や末梢静脈ルートの確保が難しい場合などでは、中心静脈からの投与が適当です。中心静脈投与では、鎖骨下静脈などから上大静脈にカテーテルを挿入し、リザーバーポートを薬剤の注入側に取り付け、皮下に埋め込みます。
静脈内投与は投与速度により、①注射器により一気に注入するワンショット静注あるいはボーラス投与(bolus injection)、②点滴により2時間程度の時間をかけて投与する点滴静注、③長時間の点滴あるいはリザーバーポートを用いて長時間薬剤を注入する持続静注(continuous infusion)があります。
経口投与は、外来治療を中心に用いられます。最近では、フッ化ピリミジン系や分子標的薬など、経口薬が増えてきています。
皮下投与は、リュープロレリンやゴセレリンといったLH-RHアナログのほか、インターフェロン-αで用いられます。
局所投与は、肝がんや頭頸部がんの治療に選択的動脈内投与が用いられるほか、がん性髄膜炎に髄腔内投与が、がん性胸膜炎に胸腔内投与が、がん性腹膜炎に腹腔内投与がそれぞれ用いられます。
このほか、表在性膀胱がんでは内視鏡手術(TURBT)の後にBCGなどを膀胱内に注入する膀胱内投与があります。